2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『考えるヒント』 小林秀雄 文春文庫2

嫌いという感情は不毛である。侮蔑のいく道は袋小路だ。いつの間にか、そんな簡明なことになった。誤解してもらいたくはないが、これは私の告白で、主張ではない。いや、いつの間にか、主張するより告白することを好むようになった。(P36) 何かを嫌いだと…

『ヒューマン2.0』 渡辺千賀 from 小鳥ピヨピヨ

先入観(メンタルマップ)と現実のズレの話も面白かったです。「世界はこうあるはず」というメンタルマップと現実にズレがある場合どうするか。人間の性質としては、「おかしい、世界はこうのはずだ」と、現実世界をメンタルマップの方に合わせようとしてし…

『徹子の部屋』 茂木健一郎

黒柳:学校の勉強ですよ?自分で選べないじゃないですか。 茂木:学校の勉強も本当の学問に通じていると信じる。 (中略) 茂木:学びの最大の成果とは、自分が変わること。あと、世界が変わって見えることだ。 少ないながら、これまで国内外・国籍を問わず…

『考えるヒント』 小林秀雄 文春文庫

ソクラテスは、大衆の教育だとか、民衆の指導だとかいう美名をまったく信じていない。(中略)ソクラテスは、この世に本当の意味での教育というものがあるとすれば、自己教育しかない、或はその事に気付かせるあれこれの道しかないことを確信していた。(P27…

『父の詫び状』 向田邦子 文春文庫

どんなに好きなものでも、気持が晴れなければおいしくないことを教えられたのは、この鰻屋だったような気もするし、反対に多少気持はふさいでも、おいしいものはやっぱりおいしいと思ったような気もする。どちらにしても、食べ物の味と人生の味と二つの味わ…

『うさんくさいのススメ』 リリー・フランキー 爆笑問題のススメ

なんか、はっきりした一つのことに向かっていくことが正しいみたいなって風になってるけどそうは思わない。人間って一日の中でいろいろなことを思う。なるべくその全部思ってることを作品にしたい。 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~作者: リリー…

『夜中の薔薇』 向田邦子 講談社文庫 4

読書は、開く前も読んでいる最中もいい気持だが、私は読んでいる途中、あるいは読み終わってから、ぼんやりするのが好きだ。砂地に水がしみとおるように、体のなかになにかがひろがってゆくようで、「幸福」とはこれをいうのかと思うことがある。 人間には、…

『夜中の薔薇』 向田邦子 講談社文庫 3

紳士は、フランスパンを千切り、赤ワインにしたシテ、ゆっくりと食べはじめました。新聞をひろげ、窓から夜景を眺めながら、紳士は二切れ目のパンにかかります。運ばれてきたのは、舌平目のムニエルでした。紳士はゆっくりと食べ、皿に残したバタ・ソースを…

『夜中の薔薇』 向田邦子 講談社文庫 2

まず、気に入ったものを作り、食べ、それから遊び、それから面白い本を読み、残った時間をやりくりして仕事をするという人間なので、目方の増える割には、仕事のほうは大したことなく、人生の折り返し地点をとうに過ぎてしまっている。(P119)「食らわんか…

『最後の授業』 ランディ・パウシュ ランダムハウス講談社

僕が思う親の仕事とは、子供が人生を楽しめるように励まし、子供が自分の夢を追いかけるように駆り立てることだ。(中略)僕はいなくなるから、きちんと伝えておきたい。僕が君たちにどんな風になってほしかったかと、考える必要はないんだよ。君たちがなり…

『菜根譚』 洪自誠 岩波文庫 3

雪の積もった明月の夜には、心境も(その雪月の夜のように)、清らかに澄みとおるものである。また、のどかな春風に吹かれると、気持も自然に和らぎなごむものである。このように、自然と人間の心とは、少しの隙間もなく、全く一つである。(P323) 朝は少し…

『菜根譚』 洪自誠 岩波文庫 2

農夫たちが、いかにも気楽に過ごしているのを見て、(気苦労の絶えない我が身と比較して)、うらやましいと思わないでもなかろう。また、豪華なじゅうたんの上で暮らしている富豪も、ふと、竹簾の下で小ぎれいな机に向って読書している人が、いかにも悠然と…

『菜根譚』 洪自誠 岩波文庫

自分の功業に得意になり、自分の学問を見せびらかすのは、みな自分以外の外のものに頼って人間として生きているにすぎない。この人たちは知らないので、心の本体が玉のように輝くように明らかで、本来の光を失わなかったならば、たとえ少しの功業もなく、一…

『生きることと考えること』 森有正 講談社現代新書 4

私がそれに向かって自分の注意を集中し、それを自分なりにオーガナイズしようとしている、その当体を「もの」というのです。(P200)ただぼんやりと目の前にあるものがものでもないし、ぼんやり時間を過ごすことが経験でもないわけです。(P201)一番大事な…

『生きることと考えること』 森有正 講談社現代新書 3

たしかに一般の人たちは、賃金が上がる、あるいは生活が豊かになる、そういう外的なことを求めますから、やはり、日本の効率主義・能率主義・集団主義というようなものが、非常に重要な価値をもった、あるいは現代にふさわしいものとして追及されるでしょう…

『生きることと考えること』 森有正 講談社現代新書 2

明晰判明な認識を得て、それを自分の人生を豊かにするために使いたい。デカルトには、そういう考えがあった。(P94) 私は、自分が、考えるということを人生を豊かにするためにつかえているでしょうか?全然そうではありません。わたしの考えることの目的は…

黒柳徹子と国際貢献 

『ゲリラに足を切られた子供や、親を目の前で殺された子供より幸せだと思いなさい』とは言いたくはないですけど、クラスでいじめられている子がいたら、みんなでいじめないようにするとか、少しでも優しくしてあげられたらいいなと思います。日本は大変なと…

『MOTHER』 SEAMO BMGJAPAN

子供に先立たれるほど 辛いことなんて この世にはないのだから たった一秒でも あなたより長く生きる これだけは守る これだけは… ひさびさにいい歌詞だなと思いました。こういう風に、誰かが生きていることを前向きにとらえることができる人生はきっと幸せ…

『フューチャリスト宣言』 梅田望夫/茂木健一郎 ちくま新書 3

茂木:形而上学的にすぎる「あるべき論」を立てるのではなく、人間というのはこうふるまうものだと理解した上で、人間社会はおそらくこういう方向に向かうだろう、というある種のビジョンや見通しを立てる。(P41) 茂木氏はイギリスについて話されています…

『私塾のすすめ』 斉藤孝/梅田望夫 ちくま新書 3

斉藤:この世に用事なんてひとつもないよ。(笑) (中略) 梅田:「義理」とかそういうものを捨てる。これは一番大事ですよね。(P185) 私も生活の中で必要最低限にとどめ、幸せだと感じることに割ける時間を増やそうと心掛けています。 [rakuten:book:129…

『私塾のすすめ』 斉藤孝/梅田望夫 ちくま新書 2

梅田:わたしたちが普通に生きる上では、悪い手でなければ指してみればいい、最善でなくても今より少しでも良くなりそうだったらやればいい。僕は人生の選択に対してそういう感じを持っていますね。(P149) 個人生活だけでなく、集団生活においても、もう少…

『私塾のすすめ』 斉藤孝/梅田望夫 ちくま新書 1

斉藤:ある一定量をこなさないと、質的変化が起こらないということを信じて、量をこなすということを、まず最初の課題にしていく。(中略)大事なのは、「負けるということをおそれない」こと。競馬の武豊騎手が言っていましたが、彼は三千勝しているけれど…

『フューチャリスト宣言』 梅田望夫/茂木健一郎 ちくま新書 2

梅田:結局教育って、ポジティブなものを与えるということ以外に何の意味もない。(P93) 茂木:そういう無限の可能性を持ったメディアなのに、そこを創造的にあるいはポジティブに使わないのは僕の倫理観に反する。うまく言えませんが、そんな確信めいた想…

『フューチャリスト宣言』 梅田望夫/茂木健一郎 ちくま新書 1

茂木:人間の成長を分ける大きな分水嶺は、遇有性をどう受け入れられるかということだと思う。成長する能力のある人というのは自分にとって痛いこと、つらいこともきちんと受け入れて、それを乗り越えていける人だと思うです。(P143) 村上春樹の発言を引用…

『考えるヒント』 小林秀雄 文春文庫2

嫌いという感情は不毛である。侮蔑のいく道は袋小路だ。いつの間にか、そんな簡明なことになった。誤解してもらいたくはないが、これは私の告白で、主張ではない。いや、いつの間にか、主張するより告白することを好むようになった。(P36) 何かを嫌いだと…

『生きることと考えること』 森有正 講談社現代新書

ことばを本当に自分の言葉として使うということが、実はその人がほんとうに生きるということと一つになる。(P84) 一文を抜粋するだけでは、著者の思想の全容は見えないのですが、私なりに意訳すると、「ことば」は個人の経験(感じたこと)をラベリングし…