『菜根譚』 洪自誠 岩波文庫 2

農夫たちが、いかにも気楽に過ごしているのを見て、(気苦労の絶えない我が身と比較して)、うらやましいと思わないでもなかろう。また、豪華なじゅうたんの上で暮らしている富豪も、ふと、竹簾の下で小ぎれいな机に向って読書している人が、いかにも悠然として静かに過ごしているのを見て、(気苦労の絶えない我が身と比較して)、慕わしい気持ちを起こさないでもなかろう。それにもかかわらず、世人はどうして、しっぽに火をつけた牛を駆り立てるように、また、さかりのついた馬を誘い寄せるように、(功名富貴を求めることに血眼で)、そうしてばかりいて、自分の本性にかなった悠々自適の生活をすることを思わないであろうか。(P296)


私は、仕事で被るストレスが得られる幸せよりも大きくなれば、転職の決断をすると以前書きました。現代の農家の人たちが気楽かどうかはわかりませんが、心の充実度が高い環境で生活することは私にとってとても大切なことだと思います。



菜根譚 (岩波文庫)

菜根譚 (岩波文庫)