2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『車輪の下』 ヘルマン・ヘッセ 新潮文庫 3

誰がより多くのひどい苦しみを受けるか。先生が生徒から苦しめられるのか。両者のいずれがより多く暴君であるか。両者のいずれがより多く苦しめ手であるか。他方の心と生活とを損ない汚すのは、両者のいずれであるか。それを検討すれば、誰しも苦い気持ちに…

『車輪の下』 ヘルマン・ヘッセ 新潮文庫 2

教師の義務と、国家から教師にゆだねられた職務は、若い少年の中の粗野な力と自然の欲望とを制御し除去し、その代りに、国家によって認められた静かな中庸を得た理想を植え付けてやることである。いまは幸福な市民や熱心な役人になっている人たちの中にも、…

『車輪の下』 ヘルマン・ヘッセ 新潮文庫

そして、科学的な人は、新しい皮袋のために古い酒を忘れ、芸術的な人は、数々の皮相な誤りを平気で固守しながら、多くの人に慰めと喜びを与えてきた。それは批判と創造、科学と芸術、この両者間の昔からの、勝負にならぬ戦いだった。その戦いにおいては、常…