『「20円」で世界をつなぐ仕事』 小暮真久 日本能率協会マネジメン

僕は前職が戦略コンサルタントだったので、どうしてもフレームワーク的にものごとを考えるクセができています。ここでも「5P」というフレームワークで整理し、それをもとにしくみをつくることにしました。
1.purpose テーブル・フォー・ツーのミッションは何か。
2.partnering どんな組織や団体とどのような形態で連携していくか。
3.people どんな人たちを巻き込んでいくか。
4.promotion ミッションや活動内容を、どんな媒体や手段でどのように伝えていくか。
5.profit どうやって事業収益を上げて目的を達成するか。(P34)

「勝てるところ」を探して一番になる。
ただし、僕は「ほかの団体と戦って勝つ」という競争の部分よりも、「ほかの団体がやっていないことを探す」「ほかの団体にはない活動の特徴を出す」といった差別化の部分が大切だとおもっています。
地球規模の社会的な課題が無数にある中で、やるべきこともたくさんあります。ほかの人がすでに着手していることをやっても先行者のほうが有利に決まっています。それならば、どんなに小さくてニッチなテーマでも、自分たちの強みが生かせる、自分たちだけにしかできないことをやろう。そういった、マーケティング用語で言うところの「ポジショニング」的な発想はとても大事です。(P38)

マッキンゼー流の問題解決方法をたたきこまれます。具体的には、「ロジックツリー」「イシューアナリシス」「ピラミッドストラクチャー」など思考のためのツールと、「マーケティングの4P」「分析の3C」などのフレームワークと伊代ばれるものを教わり、そのあと、様々なケースの問題解決に実戦さながらに取り組むのです。(P64)

迷った挙句、これは「自分をもう一度見つめなおさないと答えが出ない」という結論に達しました。そこで大きな模造紙を買ってきて、ものごころついたときから今日までを振り返り、どんなときに心の底から楽しかったか、何をつらいと感じたかといったことを、とにかく思い出せる限り、雑多にそこに書き出してみました。(P75)

話の中で印象に残ったのは、社会の課題を地球規模で考えるという点です。通信や移動、輸送手段の発達によって、いまや世界は網の目のようにつながり、依存し合っています。そうした現状を踏まえれば、一国や一つの地域の取り組みで解決する課題というのは少なく、大半は地球を俯瞰的に見て、「一気に串を刺すような方法」をとらないと、根本的な解決に至らない。そうした考え方には深く共感しました。(P80)

そんな生意気な僕のことを、先生たちもよほど腹にすえかねたのでしょう。卒業文集には「いたずらやルール破りが多く、注意されても屁理屈をいって正当化しようとする」という、僕に対する評価がしっかりと書かれています。(P87)

食肉処理場では、忘れられない光景も目にしました。これから殺される牛たちが並んで順番を待っています。その牛たちは自分の運命を知っているのでしょうか?目にいっぱいの涙を浮かべているのです。泣いている牛がずらりと並ぶその光景は、とても衝撃的なものでした。(P97)

自分だけが満たされても、自分の働く会社だけが儲かっても、それは結局本当の幸せにはつながらない。組織、会社、国など、これまで多くの人を守り、かつ外界から遮断してきた「壁」は次第にその意義を失いつつあります。この壁を乗り越え、思いを同じくする人たちとつながる方法を、多くの人が模索し始めているのです。(P145)

募金箱を設置し、社員に協力を呼びかけましたが、肝心の寄付は当初の予想よりもずっと少ない額しか集まりませんでした。「うちの会社は社会貢献に対する意識が低いのか」、そう思って担当者は頭を抱えたそうです。でも、そうではないのです。
(中略)人を動かし、参加してもらうためには理念だけではなく、「やってみよう」と思わせる無理のない仕組みが、生活の一部になっていることが必要です。募金箱にお金を入れてもらうためには、まず財布を取り出してもらわなけらばなりません。しかし、かんたんにそうに見えて、この作業はとてもエネルギーを要します。(P190)