『自虐の詩 上・下』 業田良家 竹書房文庫

かあちゃん、これからは何が起きても怖くありません。勇気がわいてきます。この人生を二度と幸や不幸ではかりません。なんということでしょう。人生には意味があるだけです。ただ人生の厳粛な意味をかみしめていけばいい。勇気がわいてきます。(下巻P267)

映画化もされた四コマ漫画です。お金はあったほうがいいけれど、なくてもそれはそれでいいんだよ、自分が存在していること自体を楽しめているかどうかが大切なんだよ、と言ってくれているようでほっとします。
内容もさることながら、小林よしのりの解説がよかったので、それを紹介します。


「ただみじめで陰惨でみっともなく、まったく無意味でのたれ死ぬだけの人間たちという風に一見見えてしまう。(中略)ある意味で、今の中流でこぎれいな夫婦関係とか、家族なんかの方が、言葉で割り切れてしまうような合理性だけに支えられてしまっている。あんたがいい金をたたき出してくれるから夫婦なんだとか、世間並の暮らしができるから夫婦であり家族で折れるんだみたいな、そういう契約関係だけに則ってしまったような夫婦関係、家族のきずなみたいなもの、そういうところではもう絶対捕まえることができないような人間関係とか、きずなみたいなもの、それを描き出してしまっているわけですね。」

自虐の詩 (下) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)

自虐の詩 (下) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)