『1Q84 BOOK2』  村上春樹 新潮社

世界とは、「悲惨であること」と「喜びが欠如していること」との間のどこかに位置を定め、それぞれの形状を帯びていく小世界の、限りない集積によってなり立っているのだという事実を、窓の外のその風景は示唆していた。
しかしその一方で、世界にはふかえりの耳と首筋のような、意義を挟む余地もなく美しい風景も存在していた。どちらの存在をより信じればいいのか、簡単には判断がつかないところだ。天吾は混乱した大型犬のように喉の奥で小さく唸り、それからカーテンを閉めて、彼自身のささやかな世界に戻った(P257)

全体的に暗い雰囲気でした。正直な小説だと思いますが、やるせない気持ちになってしまいましたね。自分の世界と外の世界のルールに連続性がないという結論は変えられないのだと言われているようでさみしいのですね。


1Q84 BOOK 2

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