『考えるヒント』 小林秀雄 文春文庫8

歌人達は、歌の独立的価値を知らぬどころではない、むしろ知り過ぎて孤立している。技芸の一流と化して社会から孤立し、仲間同士の遊びを楽しみ、社会の常識も歌の事は知らぬすましている、悲しい哉と考えるのである。彼(本居宣長)の歌の道とは、歌をこの誤った排他性から解放することにあった。(P90)

知人たちが専門的な話をしているとき、会話の過程には付いていけないのですが、彼らの最後の結論の段になって、そんなこと深く考えなくてもわかってる、と思うことがあります。会話を楽しむという意味では、十分に目的を果たしていると思うので良いのですが、結局あまり生産的でないということは、よくありますね。そして、その過程で感じる排他的な雰囲気というのは少し苦手です。みんなで分かることで楽しめるようにしたいですね。


新装版 考えるヒント (文春文庫)

新装版 考えるヒント (文春文庫)