『フラニーとゾーイー』 J.D.サリンジャー 新潮文庫 2

きみは事実にまっこうから立ち向かうということをしない。最初に君を心の混乱に陥れたのもやはり、事実にまっこうから立ち向かわないという、この態度だったんだ。そんな態度では、そこから抜け出すこともおそらくできない相談だぜ。(P194)
『イエスの祈り』の目的は一つあって、ただ一つに限るんだ。それを唱える人にキリストの意識を与えることさ。きみを両腕に書き抱いて、きみの義務をすべて解除し、きみの薄汚い憂鬱病とタッパー教授を追い出して二度と戻ってこなくしてくれるような、べとついた、ほれぼれするような、神々しい人物と密会する、居心地の良い、いかにも正常めかした場所を設定するためじゃないんだ。(P196)


現実が自分の理想と異なることに不満を抱くという態度は、解決に向かうための態度ではない、この趣旨の文章を取り上げるのは3回目ですね。自戒の念なのかしら。

フラニーとゾーイー (新潮文庫)

フラニーとゾーイー (新潮文庫)