『考えるヒント』 小林秀雄 文春文庫6

良心とは、はっきりと命令もしないし、強制もしまい。本居宣長が、見破っていたように、おそらく、良心とは、理知ではなく情なのである。彼は、人生を考えるただ一つの確実な手掛かりとして、内的に経験される人間の「実情」というものを選んだのだ。(中略)それは、個人の「感慨」のうちにしか生きられず、組織化され、社会化された力となることができないからだ。(P70)

社会というのは、基本的に個人の良心により成り立っているのではないかと考えていたのですが、そうではないのですかね。社会というのは権力の届く範囲で規定されるといわれますが、はて、どっちなのでしょう。小林秀雄は、良心で成り立っているのではないと言っているようです。



新装版 考えるヒント (文春文庫)

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