『ねこのゆりかご』 カート・ヴォネガット・ジュニア ハヤカワ文庫

ちかぢか、すばらしいこびとの娘と結婚する予定です。目を開いて見さえすれば、世の中にはみんなに行きわたるだけのアイはたっぷりあるのですね。ぼくがその証拠です。(P33)

「この世界が不幸なのは」彼女はためらいがちに続けた。「人々がいまだに迷信にこだわり、科学的であろうとしないからです。それからこう言ったわ、もしみんなが科学をもっと勉強すれば、世界から不幸はなくなるでしょう。」(P39)

「同感とかそういうことじゃなくて、真理さえあればそれでいいのか、そこがうなずけないの」(P66)

科学と宗教を対比しながら、人類が向かうのは最終的にどういったところなのかが描かれている作品でしょうか。
おおざっぱに分析すれば、科学は外的な先行きを解き明かし、宗教は内的な先行きを解き明かすといったところでしょうか。誰でも両方の側面を持ってはいるのでしょうね。