『悪女について』 有吉佐和子 新潮文庫 2

兄ちゃんだって一流の家庭教師いっぱいつけたんだよ。そりゃ兄ちゃんは僕と違って素質があったからさァ、家庭教師をつけたことが十分意味があったよね。だけど、ママが一生懸命じゃなきゃ、中野の公立にいただけじゃ、あんな最高の大学に入れたかどうか分かんないよ。それが、兄ちゃんは良くわかってないみたいなんだ。うん。頭のいい奴ほど、周りの人のこと分かんないことってあるでしょう?兄ちゃんにも、そういうとこ、あったと思うんだ。(P499)

私は、塾に行きたいとお願いしたことはありませんでした。上の兄弟が行っていなかったので、そういうことができる経済状況ではないことはわかっていました。自分が周りの塾に行っている友達より成績が良かったのも、塾に行きたいという動機を抑制していたと思います。

でも、よく思い出してみると、高校に行くのもしんどい家庭状況の友人も何人かいました。それに比べれば、予備校、大学、大学院まで通わせてもらった私には、塾に通うよりお金がかかっているのに、どこか当たり前のように感じてしまっています。因果関係ってしっかり理解しないと危ういですね。反省します。


悪女について (新潮文庫)

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